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2月のうた

グループ誌と結社誌の締め切りがほぼ同時に来たのでなかなか修羅場でございました(笑)


【グループ誌】

★脱け出ししたましひの行方さがさむとすれど我が身の果てなき重さ

★手のうへに載せて重みを確かむる携帯電話のなかの楽園

★ゆつくりと支離滅裂のほどけゆく音を聞きつつねむる真昼間

★我がうちに眠ることもせでむづむづとむづかるものを持て余す今日

★わがうちに遊ぶも良しと言ひやれば子どものこころ歓声を上ぐ

★ひかりうすき太陽ぽかりと東天にうかびて何もなき日はじまる

★頑ななこころわづかにほとびけり店員のこゑのやはらかなれば

★ひとりきりカラオケ店のひと部屋に籠る胎児のみるゆめは春

★受験てふ大事に挑む子を見つつ解けぬパズルに翻弄されをり

★万葉を声に出しつつ読むゆふべ古代の人のおほきさを知る


【結社誌】

★雪融けの水流れたる公園にひとり座れば鳥の寄りくる

★降りつづく雪の夜更けに子ぎつねの鳴き声ひとつ庭先にあり

★庭先に一列つづく足跡は子ぎつねならむ山へとつづく

★正月の残りの魚を雪上に置きて今宵の子ぎつねを待つ

★春立てる日の翌朝の雪山に春を告ぐ鳥の初音を聞けり

★饒舌な媼の話を聞きをれば湯治場の湯はなほさらやさし

★池底に動かざる鯉あまたゐて冷え冷えと水は透きとほりたり
by sei_97 | 2008-02-08 00:15 | 短歌
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